[コメント] E.T.(1982/米)
仕方ないではないか。公開当時、多感な少年期(中学生でした)。あのアンブリンのマークでおなじみの有名なシーン。鮫がガーッと画面いっぱいに口を広げて迫るのと同様、「どうだー!これが映画だー!」というシーンを見せつけられてしまったのだ。これはもう『陽炎座』の松田優作が女の情念を見てしまったかのごとく、当時の少年は「映画」というものの虜になってしまったのだ。 この映画は私が映画好きになった「原点」なのだ。
そして、「泣く子とディズニーには勝てない」スピルバーグにとっても、初めて子供視点に降りて(『未知との遭遇』でも若干あったが)、心底やりたいように撮り上げた、童話(ファンタジー)作家の原点でもあると思う。
ここからスピルバーグの快進撃が始まる。『トワイライトゾーン』『グレムリン』『グーニーズ』『ヤング・シャーロック ピラミッドの謎』(バリー・レビンソンだったのか)『インナースペース』『世にも不思議なアメージング・ストーリー』『ニューヨーク東8番街の奇跡』『ロジャー・ラビット』(途中で降りた『エクスプロラーズ』なんてのもある)。多くは製作総指揮としてではあるが、その童話作家ぶりは他の追随を許さない。
それとともに彼は、「童話も作れる」作家ではなく、「童話しか作れない」作家であるという馬脚を現していく。分かり易く言えば、手塚治虫だと思っていたらやなせたかしだったというわけである(かえって分かりにくい)。
そして自身の監督作品は、『インディ・ジョーンズ』シリーズ(『レイダース』は本作以前だが)や『ジュラシック・パーク』に代表される“超娯楽”路線と、『カラーパープル』『シンドラーのリスト』に代表される“オスカー欲しい”路線に2分化していく。ただし、その精神はやなせたかしのままで。
(続きはなんと『太陽の帝国』で)
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