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[コメント] 肉体の門(1964/日)

原色の憎悪と生命力に彩られた、屈折した「くりいむれもん」
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







以前観たのがいつだったのか、いや、そもそも観たのかどうかも定かでないほど記憶が飛んでいた。偶然CS放映に気付いて、ちょいと最初だけ観るつもりがグイグイ引き込まれ、その後の予定を総て投げ出して最後まで熱中。3点から5点に飛躍的にアップ。

ここにある「美学」は「様式」のためのものではない。「必然」としての「美学」。 本能の象徴としての強烈な原色。思い切った引きの絵。一転してドアップ。日の丸を小道具としてオーバーラップする兄への想いと新太郎への想い。そしてドブ川に打ち捨てられた日の丸と、対照的に高々と掲げられた遠景の星条旗。 巧いなあ。思わずうなってしまった。

河内カルメン』でも書いたが、実は鈴木清順は巧いのだ(他人の映画を観ない我流らしいが)。 鈴木清順はピカソと同じなのだ。ただ壊れた絵を描いているわけではなく、本当は優れたデッサン力があるのだ。ホント、五社英雄に見せてやりたい。あ、俺が五社版観てねえや。

今調べて初めて知ったのだが、野川由美子の映画デビュー作らしい。なんだかコンテストで入賞したのを鈴木清順に見初められたとか。どうやら清順オジサンは「目力」の強い女性が好みのようだ。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)山本美容室[*]

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