[コメント] 希望のかなた(2017/フィンランド)
まるでケン・ローチ。カウリスマキが鳴らす警鐘。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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前作に続いて難民問題。難民3部作の2作目という情報と、本作を最後に監督引退という情報が交錯している。
今回のカウリスマキは、はっきりと、力強く主張する。まるでケン・ローチ。
これほどはっきりと「悪」を出してきたことは無かった気がする。 もはやコメディのオブラートは破れ、いつもの「寡黙さ」もどこへやら、こと難民に関わるシーンではカウリスマキ史上最大の「熱弁」をふるい始める。
和食、インド料理など様々な国の食文化が登場するが、一過性のコメディの向こうに「多様性」や「共存」という“希望”が透けて見える。饒舌だ。
夫婦の話は、別れても、またもう一度手を取り合うことができるという“希望”のメッセージだろう。
政治的なメッセージを発しないカウリスマキが変わったのか? 政治的なメッセージを抜きに「市井の人々」を描くことが困難になったのか? 正直、フィンランドの国情が分からない。 難民と、それを排除しようとする過激思想。それがどの程度深刻な問題なのか、皮膚感覚で分からない。
もはや世界は、カウリスマキが警鐘を鳴らすほど、深刻な闇に包まれているのかもしれない。
(17.12.10 渋谷ユーロスペースにて鑑賞)
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