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[コメント] ジャージー・ボーイズ(2014/米)

ニュージャージーの男の子たち。むりやり日本に置き換えるなら『岸和田少年愚連隊』。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







私はクリント・イーストウッド御大を「星条旗(=アメリカ)を描く作家」と呼んでいて、そういう目で観ちゃうこっちが悪いんだけど、この映画もまた別の形で“アメリカ”を描いているような気がするのです。 まあ、元から音楽映画が好きな人で、最近めっきり「アメリカ近代史」を描くのが好きだから、ただ単にその融合かもしれませんけど。

しかし実際、早々に「この街を出るには、有名になるかギャングになるか軍隊に入るかしかない」というようなこと(<全然正確に覚えてない)を言っていて、「この街を出たい」という動機とその後の過程は、アメリカ近代史の一側面、ショー・ビズの世界を通したアメリカの光と影を描いているようにも思えるのです。最後の再結成の描写は「こういう歴史の上に今があるんだよ」とお爺ちゃんが言っているように見えます。

しかし、イーストウッド御大特有の(その創作意欲の原動力と言ってもいい)“怒り”は、この映画にはありません(既にけにろん師匠が同じことを書いていますが)。 確かに巧いし、音楽もいいし、飽きずに観られるのですが、この映画で何か心に残ったかと問われれば、私には何もありません。 いやまあ、「君の瞳に恋してる」のオリジナルを知ることができたってのはありますけど。私は椎名林檎版しか持ってないけど。てか、ボーイズ・タウン・ギャングって他に何かあるのか?

イーストウッド御大がアメリカのショー・ビズ界を描くのは珍しいように思うのですが、お決まりパターン話だからこそ、ベタベタな『ドリームガールズ』の方がウヒウヒ楽しかったんだよね。あれはあれでボロクソ言ってるんですけど。 たぶん、この話にイーストウッド御大の演出は“上品”すぎたんだと思うんですわ。

(14.10.13 ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞)

(評価:★3)

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