[コメント] 俺俺(2012/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ファンでもなんでもない者からすれば、下手くそなアイドルが何人に扮しようが何の面白みもない。むしろ下手な奴がウジャウジャ増えるだけで、迷惑なことこの上ない。久しぶりに映画観ながら寝そうになった。これねえ、例えば、バナナマンの日村とかが主演だったら、見ているだけで面白かったと思うんだ。出オチで終わるかもしれないけど。
「俺」という一個の人間が輝くのは「俺山」の中ではなく、他者との関係性の中で初めて一人の人間である「俺」が輝くのだ。殻にこもるな!他者と関われ! この映画のメッセージはそういうことだと思う。 三木聡はしばしば「人の生き方」を映画で提示する。これもその流れの一つだ。 ただ、このメッセージは、映画開始早々、母親・キムラ緑子との会話の中で暗示されてしまう。そしてその後のストーリーは、その裏付けのために費やされ、冒頭10分以降は新たな物語は提示されない(ように私には見える)。
パラレルワールド物で、なんだかわからないキングコング的なオブジェとか不可思議な建造物とか、「これはパラレルワールドですよ」と分かりやすく提示してくれる。 村上春樹「1Q84」の月と同じ。「タイガーをあなたの車に」看板の方がはるかに分かりにくい。 三木聡は、テレビドラマ「熱海の捜査官」でアッチの世界へ向かう話を描いているが、なんだかめっきり異次元に魅入られているようだ。 なかなかいい傾向だが、ジャニ映画には向かないと思う。
よく「人生はゲームのようにリセットできない」などと言うが、この映画はゲームでなくパソコンの概念を持ち込んでいる。CopyとDelete。人生は複写も削除もできない。これもまた三木聡の人生論なんだろう。
(13.06.02 ヒューマントラストシネマ渋谷にて鑑賞)
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