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[コメント] アルゴ(2012/米)

「誰の言葉だ?」「マルクス」「グルーチョか?」←これ言いたい。
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







本当はカール・マルクス、あの「資本論」の著者で共産主義の必然性を説いたあの人ね。 いやまあ、本当に彼の名言かどうか分からないけど、劇中ではそう言ってるね。 そしてグルーチョ・マルクスは、言うまでもなくハリウッドを代表するコメディアン=マルクス兄弟。 そしてこの映画の背景は「東西冷戦」。 この東と西を代表する「マルクス」は、何やら象徴的な気がしないでもない。ま、ただのしょーもないオヤジギャグかもしれないけど。

そういうわけで(<どういうわけだ)この映画の時代背景は、最も「骨太サスペンス」が似合う時代。別名ジョン・フランケンハイマー狂い咲きの時代。あるいはリチャード・レスターですら骨太サスペンスが撮れちゃう時代。あの時代の空気は、何かそういうものがあったんだと思う。『クレしん オトナ帝国』の“ニオイ”みたいなもんだ。勝手な推測だが、ベン・アフレックはこの映画で、あの空気感を大切にしたのではなかろうか。

そしてこの映画の最大の良い所は、説教じみた余計なことを「言葉」で語らない点。

「最初は反対してすまなかった。ありがとう」「いやいや、君の空港での力説はよかったよ」なんてことを言葉にせず、男二人が無言で握手するというね、こーゆー所。 思想的なことは一切口にせず、ケンタッキーを食べるイラン市民を描写するとか。

あと、最後に帰るのが典型的アメリカ郊外の家なのね。『グラン・トリノ』のセットの使い回しかと思うほど。この“典型的な家”って重要でさ、ここに緊張状態から開放された男の“平穏な幸せ”が描写されてると思うの。 そしてあの空港での絵コンテのクダリ。映画って楽しいもんだって思いが凝縮されてると思うの。

(12.11.04 ユナイテッドシネマとしまえんにて鑑賞)

(評価:★5)

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