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[コメント] アヒルと鴨のコインロッカー(2006/日)

三角形のハードボイルド。グッときた。(その理由はネタバレ抜きで語れない)
ペペロンチーノ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







原作は全く知らないので、映画だけを素直に読み解くことにする。

物語は、ほぼ常に男2女1の三角形で進行する。 瑛太と松田龍平の琴美。ストーリーの語り部である主人公・椎名と瑛太の大塚寧々。アヒルと鴨のコインロッカー。ついでに言えば、悪役も男2女1なんだが。

面白かった。初めて観た監督なのでその力量はよく分からないが、話を損なわない安定した演出をしていると思う。だが多分、本作の面白さは原作と役者達に依っている可能性も否定できない。 正直、「アヒルと鴨のコインロッカー」に意味があることに少しガッカリしたのだが。 もっと分かりにくい“暗喩”でよかったと思う。

(ここから先、なるべくボカして書きますがひどいネタバレを含みます。未見の方は読まないことをお勧めします)

全貌が明らかになった時、グッときた。正直泣いた。 どうやら私は復讐劇にグッとくるらしい。復讐を果たした爽快感を楽しんでいるのではない。長い準備期間の“忍耐”にグッとくるようだ。

「隣の部屋が再来年空く」という台詞がある。 その再来年が“今”なのだ。その1年から2年の間ジッと待っていたのだ。 その間、一体何を考え、どういう思いで過ごしてきたのか。どれほど長く感じられたことだろう。そうした時間を(勝手に)推測して泣きたくなる。

孤独な留学生。たった二人の友人。一度誰かと過ごしてしまうと、その喪失後は一層孤独を感じるという。ましてやここは他国なのだ。 「悪事を働くと生まれ変わって罰を受ける」と信じている男が、己の手で罰することを決意するに充分な環境。例えそれによって、自分が来世で罰を受けることになっても。

これはハードボイルドだ。 誰のためでもなく、己のために立ち上がる男の物語だから。

(評価:★4)

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