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[コメント] 乱(1985/日)

4.5点。堂々たる巨匠の技。見事すぎて魅せられるしかない映像美・演出だった。しかし最後だけちょっとくどい箇所がある。
苦悩鮨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ラスト近くの場面。 「悲劇ばっかりで虚しい。救いが無いよ!」っていうのを、セリフで登場人物に言わせる必要は無い。ここにどう転んでも“ヒューマニズム”の範疇から脱却できない黒澤監督の限界がある。

人間界の範囲内での悲劇を見つめ、それに嘆き、慟哭する。 そこはわかるのだが、悲劇があった。悲劇はどうしようもなく起こる。こうした悲劇はこれからも起こり続けるであろう。 それはあまりに受け容れ難い辛苦・絶望ではあるが、人間界の現実においては、そうした出来事の在り様というのはごく基本的でどこででも繰り返されているものだ。 もはや手の施しようが無い常態化した事態なのだ。 そのように静観するするというか、「場面として描写」すれば、映像とエピソードで暗に示唆すれば、それだけでよかった。

言葉で語ることは要らなかった。

とはいえ、この場面以外のすべての演出に5点を献上したい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] DSCH[*]

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