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袋のうさぎさんの人気コメント: 更新順(1/2)

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★5ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択(2016/米)ジェンダー・世代・人種/社会グループという三つの不確定要素によって分断された周縁社会の今を生きる女性たちのための新たな西部劇。茫乎たる大自然の只中で拠り所を求める花のかんばせに束の間訪れる羞恥の翳り、信念の結露、多幸感の光輝、当惑の渋み、その崇高さ。まさにその一瞬に向けて、軋轢と和解、挫折と希望、巡り合わせとすれ違いの関係性の構図が、一縷の漏れもない峻厳さで設計される。MWとの三部作の見事な完結編ゑぎ[投票(1)]
★5ミークス・カットオフ(2010/米)地の果てまで続くような砂礫と灌木の乾いた風景。それが1週間、2週間と続き、あるいはもう何年も経ったのかもしれず、永遠と無限を想起させずにはいない反復の終わりに何があるのか(楽園?神?世界の終わり?)、募りゆく疑念も不安もそのまま、唐突に暗幕が下りる。実際は90分付き合っただけなのに、まるで神隠しにあったような意識の晦冥。このようにして我々はある日自分の死に不意打ちされるのかとDSCH, けにろん, ゑぎ, ぽんしゅう[投票(4)]
★4掟によって(1926/露)春の到来とともに氷河が融解して、ぐるぐると流氷を漂わせながら氾濫してゆく一方の河畔の掘っ立て小屋に閉じ込められた生存者たちの心許なさが圧倒的! [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★3第十一号監房の暴動(1954/米)暴徒の足並みが、無思慮なリーダーの乱心のために須臾にして乱れる端緒を、一閃のアクションで見せるのはさすがシーゲル。それに比べて、団体交渉や集団暴走の場面が妙に醒めていて、本番前のリハーサルでも見ている気にさせる。けにろん[投票(1)]
★3テレグラフ・ヒルの家(1951/米)戦争難民によるアイデンティティ・スワップという一風変わったプレミスで始まるゴシックもの。陽光あふれるサンフランシスコの市街を一望する丘の屋敷の立地が画面から翳りを奪い、夜の帳の訪れさえ、馥郁たる潮の香に満ちた開放と冒険の契機に変えてしまう [review]ジェリー[投票(1)]
★4ブルータル・ジャスティス(2018/米=カナダ)Stormfrontや8kunで気炎を吐くような保守反動の金気臭さ*は薬にもならないが、ネオナチご贔屓のブラックメタルよりもむしろ正統派へービーメタル寄りのズッシリとした挙措動作のリズムと赤剥けの暴力の恐ろしいほどの切れ味は、結構なトラウマもの。前2作のこじれたバロック趣味も悪くはないが、絶賛もしない人間にとって**、今回のtrollらしいシニシズムの計算づくのドライさは好感。悪意に満ちた不意打ちの演出も磨きがかかる [review]ゑぎ, DSCH[投票(2)]
★5ジュデックス(1963/仏=伊)「或る夜の出来事」という措辞の持つの曰く言い難い響きが木霊する二度の出現#。深層のじじまの中から魔性のものが立ち上がる驚異の瞬間。寝静まった城に夜盗に入った黒タイツの女が復路の門前で狼の一群と遭遇するまで。道端で傾眠する探偵が憑き夜の石畳を戞然と鳴らす辻馬車の到来に驚かされて白タイツの女曲芸師と再会を果たし。目もあやな陰陽二人の対決、三角屋根上のキャットファイトほど、美学的に満足のいく結着はない [review]ゑぎ, KEI[投票(2)]
★4殺人者にスポットライト(1961/仏)遺産相続殺人に相応しい、謎と陰謀の目眩くアラベスクを期待すると拍子抜けするが、同じ監督の後年の作品と同様、おとぎの森や湖畔の古城を使って、素朴な幻想の陰画が試みられていることに合点がいけば、見所は事欠かない。 [review]ゑぎ, ぽんしゅう[投票(2)]
★5真昼の不思議な物体(2000/タイ=オランダ)文明の夜明けに世界各地で見られた神話発生の坩堝を覗き込んでいるようであり、またクノーの「文体練習」に似た言語遊戯が市井の人々に実践されるのに随伴しているようでもある。単一のプレミスの周りで気随気儘に付け足されるのは、各々の人となりと共に生活の息吹きであり、それは、また、様々な表現形態を模索する糸口となる。旅行者が散策がてらに収集したような町のざわめきが、そんな演出家の姿さえ宇内の点景として包み込む [review]ぽんしゅう[投票(1)]
★4オールド・ヘンリー(2021/米)それこそ作品全体の命運を決するような唯一無二の瞬間を、神々しく、最高峰に生きるために、物語の山谷・気分の浮沈・話運びの緩急が段取りされているような映画。 たとえそこでしたり顔に下される決断がどんなに陳腐で手垢にまみれていても、肝心な場所でとちらなければ、後々まで尾を引く強い感銘を与えることができるんだなあと。臆面もなくベタな展開なのに、久々に全身粟立った。7.5/10KEI[投票(1)]
★4眠りなき街(1953/米)レールの上の毎日に嫌気がさした男と年々夢が遠のく一方の下積み暮らしに希望を失う女。そんな二人の落着きのない心が再び自分のもとへ戻る日を辛抱強く待つもう一組の男女。そこに悪魔の奸計が働いてお決まりの悲劇を手繰り寄せる。他人事と思えないこの因果。KEI[投票(1)]
★4襲われた幌馬車(1956/米)コマンチかぶれのお尋ね者をガイドにアウトドアのABCが学べるワンダーフォーゲルの合宿のようなウェスタン。夜中の川遊びの思いつきが運命の分かれ道になる下りが佳境。うぶな若者達の前で二言目には先住民の風習を擁護し始めるウィドマークが可笑しい 7/10KEI[投票(1)]
★4ザ・ハント(2020/米)ポストトランプな『猟奇島』だからといって、誰が一笑に付すことができるだろう。序幕は真の主人公が確立されるまで、のべつ幕無しに視聴者の先入観の裏をかくことに重点を置いた構成。ジャンルファンなら無関心でいられない仕掛けが散りばめられてる。惜しむらくは、中盤以降、出涸らしのミームの寄せ集め以上にナラティブ的な深化が見られない。マナーハウスの果し合いに至っては、『キルビル』の劣化コピーに甘んじている 7/10t3b, けにろん[投票(2)]
★5オールド・ジョイ(2006/米)本当に我々が大学時代の盟友を帯同して、思い出のハイキングコースを辿り直している気にさせる時間配分。記憶の最もこそばゆいところを刺激してくるショットの瑞々しい喚起力。心からの慨嘆に満ちた言葉とともに紡がれる、無意識の所作と表情の、気配りの行き届いた差配。劇中の台詞「木を通して森を見る」(意訳)を地で行くような、二つの拮抗する細流の出会いとその静かな衝撃を、時代の趨勢の抽出にまで高めようとする思索の跡ゑぎ[投票(1)]
★5高い標的(1951/米)焦らすだけ焦らして一瞬だけ思わぬ場所に出てくる大統領。その瞬間、形勢不利に始まり二転三転してきた見えない敵との戦いが鮮やかな簡潔さで終結する。長距離列車の移動のリズムに合わせてメリハリをつける宙吊り芸の妙 9/10ゑぎ[投票(1)]
★4彷徨える河(2015/コロンビア=ベネズエラ=アルゼンチン)一族郎党を襲った運命の不条理と折り合いをつけるのに、たとえ迷信にしろ、体系的な解釈を必要とするのはギルガメシュの時代から変わらない。そう思わせる悠久の河=意識の流れ。マングローブに覆われた河岸の底知れなさと、緑の壁のように続く樹冠の高み(白黒画面の豊饒さに目を射抜かれる)。聞こえてくるのはオールの立てる音と小鳥の囀りぐらい。異人との邂逅により運命の逆転に掛ける放浪者の悲願。静かだが充実した映画の時間寒山拾得[投票(1)]
★5凱里ブルース(2015/中国)貴州は未踏だが、孟族の国は越中国境で馴染みがある。峰巒重畳たる低山の風景、坂と階段の多い町、崖際や山裾の高低を活かした建築など目を楽しませる被写体が多い。伝奇のリアルへの蚕食、騙し絵的な背景幕、滴・蒸気・汽笛の魔術的な表現、無意識にそよめく囃子声、絵巻物のようにパンするカメラ、個々の背中を追って町の動脈を行き来する移動撮影、譫言のような詩の朗読など先人の影響は明らかだが、病みつきになる魅力がある [review]ゑぎ, ぽんしゅう[投票(2)]
★5コロンバス(2017/米)建築映画としては、ローマの大聖堂とその作者の生涯を下地にした『La Sapienza』の後に続けて見ると、モダニズムとバロックの様式の違いだけでなく、その背後にある宇宙観の変遷(超越性から内在性へ)まで透けてくるから面白い。建築家が思い描いた世界の<梁と屋根>を虚心になってなぞることで精神に変容をきたそうとするところは、同様に先入観で目を曇らされた男が盲人の導きにより開眼する「大聖堂」**に通底するものがある [review]ぽんしゅう, けにろん[投票(2)]
★5ビリディアナ(1961/スペイン)縁故主義・情実人事が横行する、実質半径数人の領地に、エデンの園の住人みたいにして暮らしてる。門の外は煉獄しかない。何もかも同語反覆的で再帰的(親族結婚・寄生関係・収奪経済・旧世界の悪徳の再生産)。ヒロインが顔だけでなくそのドン・キホーテ的な言動まで信心屋の親友に酷似してるのを再発見して愕然。奇遇にも同じ<El sur>の0.001%だ。私も遺言状をしたためるドン・ハイメのような黒い笑いの発作の常習犯だったゑぎ[投票(1)]
★4不審者(1951/米)同じ町(あるいは国)で生まれ育った男女が、偶然異郷の一角で逢着し、思い通りにいかない人生を慨嘆しているうちに寂しさ(あるいは別の思惑も・・・)から不倫関係を結ぶ。世界各地でそれこそ夜空の星の数ほどありそうな話だが、それでも魅せるのはロージーの演出力なのだろう。 [review]ゑぎ, ぽんしゅう[投票(2)]