コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] メクトゥー・マイ・ラブ カント・ウノ(原題)(2017/仏)

セット*!ニース!学生と観光客と地元のすけこましが糸目もあらわに入り乱れる夏のバカンスの昼下がりと夜通しの馬鹿騒ぎの肉迫が生々し過ぎてとても冷静に見ていられない**。やはり、この人の映画は、褐色の肌に映える白い歯の微笑と南仏の抜けるような青がよく似合う。毎回、お約束のように意中の人をいけ好かない仲間に目の前で掠め取られる主人公が、昼過ぎまで悶々として寝床で過ごす下りは世界の映画青年に捧げられている?
袋のうさぎ

* 国際フェリーの発着点。さすがに日本からの観光客の姿はあまり見かけないが、マグレブ諸国への玄関口として利用する人も多いのでは。同監督の前々々作の舞台としても印象的な使われ方をしている。

** 夏の盛りの地中海のリゾート都市といえば、それこそ欧州中から、老いも若きも独身者も家族連れも、あらゆるカラーの人々が大挙して押し寄せるので、連日連夜、舞い上がった嬌声や酔余のがなり声が、明け方近くまで途絶えることがない。夜を徹しての供宴の余燼が燻る長い午後の気怠さも然り、海の匂いに混じってうららかな夜気に纏いつくサンオイルとオーデコロンの残り香も然り、街角のテラスから繁華街の広場まで占拠する多国籍の雑踏の夢中遊行が、刹那の哀歓の一大タブローへと昇華されている。時と場所の思い出は人ぞれぞれだとはいえ、劇中人物とともに、ひと夏のアヴァンチュールを生き直しているような錯覚を起こさせる。この色艶の万華鏡のヴィヴィッドさ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。