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[コメント] ディシジョン・アット・サンダウン(1957/米)

ランデブの場所で一堂に会するまで、関係者の素行品性と来歴を一筆書きで素描しながら、一気呵成に対立の核心へ雪崩れ込む冒頭15分の手際はサスペンスの鑑のような美しさ。フックとは斯様に周到かつ大胆に構築されるべきと感動する。常に胸に一物ありそうなスコットの無思慮と直情径行が予定調和の一歩手前で騒擾の種を蒔く(意表をつく)。独りよがりなお騒がせ者が不面目なトリックスターとして受容され、翻身を促すアイロニー
袋のうさぎ

惜しむらくは、状況説明的な会話の付け足しが、一くさり二くさり余計だったということ。もう少し観客の知性を信頼して、画面の力だけで語らせていれば、『反撃の銃弾』にも比肩しうる大傑作になり得た。

ある意味、この映画で見られるような、金権政治と人心の乱れに対する一般市民の羞恥心の萌芽が、リオグランデの北と南のその後の命運を分けたのではと皮肉な思いになったりもした。 今日のラテンアメリカのエリート(多くは白人)は母国の社会不正と略奪の歴史を揶揄されると、健忘症にかかったようなふりをすることがある。まー、我々も他人の家のことは言えないですが・・・

8.5/10

(評価:★4)

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