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袋のうさぎさんのコメント: 点数順

★4ヒッチコック博士の恐ろしい秘密(1962/伊)まだまだイタロ・ゴシックには隠れた名作があった!そんなにバタバタと人が死ぬわけでもないので若干中弛みするが、終盤にかけて一気に盛り返す。窓枠やカーテン、隠し階段や地下道を使った視線の誘導のサスペンス、カラーなのにモノクロのように強い光と闇のコントラストから生まれる目眩まし/死角の脅威、どこがどう通じているのか途中でわからなくなる屋敷の迷宮然とした内部構造も袋の鼠になった新妻の恐慌を弥増しに煽る[投票]
★4ラブ・ウィッチ(2016/米)奥さまは魔女』の能天気にジャーロの淫靡がカクテルされた懐古趣味が炸裂。ファッション撮影並みに配色から小物まで細心の注意が払われておりヴィクトリアン・ゴシック好きにはたまらなそう。だけど、お粗末なフレーミングのせいでせっかくの造形の魅力が半減 [review][投票]
★4アイズ・オブ・マイ・マザー(2016/米)ワイエス的な引きの画面の森閑とした奥行が、エド・ゲインの女性版の物語に、大人のための残酷な童話のような奇妙に歪んだパースペクティブを付与すことになった。 [review][投票]
★4壁にぶつかる頭(1959/仏)50年代の<反精神医学>運動の一翼を担おうという意気込みがひしひしと伝わってくる至極まっとうな社会派ドラマ(と記憶する)。演技も撮影も重鎮揃いなので見応えあるが、正直フランジュの感性に相応しい題材であったか疑問。たとえ、屠殺場の実態を暴き出すときでも、彼には胡乱なリアリズムを超えたところで倒錯した非日常の詩情に傾く嗜癖があったが、斯様な才幹がここでは十全な活躍の場を与えられなかったように思う 7/10[投票]
★4カルティキ/悪魔の人喰い生物(1959/伊=米)核の脅威(カルティキは放射性生物という設定)には核をもって応じなければならないというタカ派の悲鳴に近い絶叫激語が聞こえてきそうな一斉火炎放射の眩さ(まるで核爆発のよう)に全身総毛立つ [review][投票]
★4襲い狂う呪い(1965/英)これが北米公開時に『バンパイアの惑星』とダブルフィーチャーとか、SFホラーの童年時代をリアルタイムで知ることができなかった者にとっては妙にノスタルジックな気分を掻き立てる。今だったら『DAGON』の前座としてラヴクラフト・ナイトかな。そして寝酒に香山滋でも一杯ひっかけて秘境探検やるには遅く生まれ過ぎ、宇宙へ旅立つには早く生まれ過ぎた我が身の不憫を慰めつつ夢路を辿る [review][投票]
★4デビルズ・キャンディー(2015/米)フライングV愛が迸るサタンメタル(MOVIE)。テキサスの片田舎でシャイ二ングと思いきや、捲土重来のサバイバルホラーへ。あまりひねりのない展開だが、肝の部分を見せないミザンセーヌが宙吊り状態の不穏を幾何級数的に倍加 [review][投票]
★4恐怖の牝獣(1964/英)回転』の撮影監督がメガホンを取ることにより舞台がロンドン近郊に移り、本家の意地を見せるのに格好なお膳立てが整った。手垢のついた幽霊談で始まったものが、気がつけば観客も劇中人物と同様に暗中に放り出されて、もう何が真実なのかわからなくなる [review][投票]
★4炎のグレートコマンド 地獄城の大冒険(1985/スペイン=米)見事な脱ぎっぷりで海千山千の盗賊の頭目を手玉に取るお姫様も、ハリウッドで30年過ごすと、西部の荒れくれ者たちのサンドバックに過ぎなくなるという皮肉。7/10[投票]
★4緋色の爪(1944/米)このシリーズはこれが最初だったけど、吃驚するほど面白い!見事な脚本が無駄なくテキパキ演出されてゆく痛快さ。村の迷信と都会の合理精神の対決!怪人二十面相じみた犯人が魔法のように早変わりしてゆく様に感心することひとしきり[投票]
★4猫とカナリヤ(1939/米)無声時代のP・レニ作より映像面では見劣りするが、もともと小気味良い会話を中心に謎解きする密室ミステリが原作なので、トーキーの導入により息を吹き返した本作のほうが本領発揮な感じ。腹に一物ありげな怪人物の面々と、カラクリ屋敷のトリックの面白さ[投票]
★4恋の睡蓮(1922/米)岩礁に当たって噴き上がる水飛沫のカットで始まり、日没間際に逆巻く満潮のカットで終わる。身の丈に合わない恋の帰結は、海のセイレーンに欺かれたような眩暈を伴う。理不尽な運命をじっと耐える娘の横顔が、歴史の闇から苦悶の時間を逆流させる[投票]
★4復讐の二連銃(1947/米)V・レイクのビッチぶりがノワール的な確執と策謀のドラマを引き立てる。渓谷で神に等しい力を有する男に歯向かうのが許婚の女という皮肉。柵を嫌う流れ者の意地。血生臭いギャング抗争。一人の女の我執のために振り回される男達の滅びの美学[投票]
★4無警察地帯(1955/米)このように犯罪組織に乗っ取られた街が戦後まで米国にあったという史実にまず驚愕。官憲に見捨てられた市井の人々の無力感が半端ない。コーマンの『侵入者』に通じる地方政治のいかがわしい熱気と歯止めの利かない腐敗に圧倒される[投票]
★4マカオ(1952/米)異国情緒が漂う港町に、出自の怪しい外国人が押しかけ、恋と陰謀の駆け引きが始まるというだけで期待が高まる。そこに装飾性の強い画面と割り切れない男女の物憂げな気分が加わるのだから感無量。碁盤目の光と影が揺蕩う波止場の追走劇の迷走感が素晴らしい[投票]
★4夜歩く男(1948/米)戦後間もない頃、犯行の大胆さと人道外れた手口の残忍さでLAを恐慌に陥れた男。<ジョーカー>の先駆者の系譜に連なる伝説的大犯罪者だ。戦争後遺症に苦しみ、発作的に激しい暴力の衝動に捉われる。何でも所属した部隊を自分のミスで全滅させて、後々まで酷い陰口を叩かれたらしい。その孤独で被害妄想的な面影が、ノワールの翳深く殺伐とした画面とマッチしている。人間狩りに近い状態になってゆく第三幕の緊迫感が白眉である[投票]
★4SAFE(1995/米)たぶん最も現実的に可能性のあるゾンビ・アポカリプス。排気ガス、水質汚染、化学調味料・・・同じようなフォビアに捉われている人を知っているだけに他人事に思えない。この終末観の寒々しさは半端じゅない。[投票]
★3地下幻燈劇画 少女椿(1992/日)幻燈的な紙芝居を意識している割には、つなぎの絵が普通の深夜アニメの質に戻ってしまうのが残念。他人の画風を真似るだけでは超えられない壁を感じた。快調に始まったかに思えたエログロサーカスも、2話3話に入る前にネタを出し尽くして閑古鳥が鳴く有様[投票(1)]
★3ホール・イン・ザ・グラウンド(原題)(2019/アイルランド)舞台がブリテン島で、大森林があり、隕石のクレーター付近で超常現象的な怪事件が連続して起きるとなると、やはりマッケン的な異形幻想を期待してしまう。初動はなかなかギアが入らず眠気を誘うが、人ではないものの疑惑が芽生える中盤の見せ方に工夫があって少しの間目が冴える。ただ、大団円に近づくにつれ、旧作ヒットメドレー・リミックスのように見えてくるあたりが、この分野にとんと新風を吹き込めずにいる時代の限界か[投票(1)]
★3吸血鬼(1957/メキシコ)これも方々で噂を聞くので名前だけは知っていたが、いざ開封してみると大したことなかった部類に入る。タボアーダの経験もあって期待値が上がり過ぎていたせいもあるが、話自体は、レ・ファニュ直系の英国風吸血鬼談をメキシコの田舎に移植しただけだった。ただ、当地の伝統建築というのか、中庭と回廊のある屋敷のセットや、街道筋から本館までえらく離れていて森深い点に風土を感じた。恐怖演出自体は特筆するものはなかったかな[投票(1)]