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[コメント] ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012/日)

断然支持する。テレビの延長線上にあった以前のシリーズよりも立体的な構図やカメラワークが多用されており映画たろうとする意欲が感じられる。音楽と映像を見事に同期させたアクションシーンも『ファンタジア』の頃からの伝統に沿うアニメーションの正しい姿であると言って良い。ひたすら画面と音響を堪能するという点において前作よりもよほど優秀な娯楽映画である。
Sigenoriyuki

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







この映画には基本的に極端に閉じられた空間と極端に開かれた空間しか出てこないことに注目してみてほしい。そしてその二つの空間がいともたやすく繋がってしまっているのだ。

薄暗い戦艦の艦橋がせり上がっていくと外の様子が大写しになる。ガラスで仕切られた部屋にはMark.09が突っ込んできて大穴を開ける。シンジと綾波が共にNERV本部へ向かう場面では始めは薄暗いエレベーター内だけが映され次にがらんどうになったNERV本部が映される。そしてその本部にぽつんと佇む綾波の部屋。カヲルがシンジに真実を語る階段の場面では始めは周りが雲で覆われ何も見えないが一気に雲が晴れ真っ赤な世界が見えるようになる。

例えばこれを少年少女間の閉じられた世界の出来事が即地球全土の運命という極端に開かれた世界に影響を与えてしまうということを視覚的に表現したものと読み取ることができるかもしれないが、ここではそういった考察は控えておきたい。それよりもこの極端から極端への移行が一種の映像的快楽を生み出していること、そしてそれは本作のような極端な世界観を持つ映画でしか味わうことができない貴重な体験だということを何よりも主張したい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)けにろん[*] Ikkyū DSCH

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