余談は良いとして、

まず画が良い。懐かしい佇まいの車たち。錆びた街並み。催涙弾の煙に浮かぶシルエット。数少ない街灯に照らされる恐怖。躍動する暴力。それらが意図を持ったショットによって的確に描写されている。 韓国映画は地力があると感服する。

ガンホ先生は何時もの安定感。その他のおっさんも少年も皆良い顔してる。 クライマックスのトラック野郎展開もあの顔で乗り切ったようなもんだ。

良い感じだが点火しない。 ラストの空港での別れが良い感じに幕を引いて思った。

あのドイツ人のバックボーンは運転手同様に後がないダメ人間として脚色されてしかるべきだったのでは？ 或いはもっと傲慢で劣等感に取りつかれた‶白人”として。 であればあの実にあっさりした別れは、その後会う事のなかった二人の運命はもっと輝いた気がする。娯楽映画として。

事実を元であるというところに引っ張られ過ぎた。 それが惜しい。