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[コメント] 銭ゲバ(1970/日)

西新宿のロータリーから登場する唐十郎造形のインパクトもの凄く、拾うサングラス絶妙、虎のスタジャンのシンボル性は半世紀前もいまも変わっていないと確認できる。この序盤は最高なんだけど。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ぱっと想起させられるのは村川・優作コンビのブルジョア潜入もの(製作は本作の方が早い)との類似だが、60年代にも日活や東映のアクションものでも同様の切り口は多い訳で、本作のユニークさはやはり唐の主人公の造形に求められるんだろう。「醜い」主役のピカレスクにはリアルがあり、カルト作としての資格は充分。しかし物語には類例を超えるものは見つけられなかった。

生き延びるために潜入を果たしたブルジョア家庭を内破させてしまう物語だが、どうも切り口が徹底されていないと思う。積み重ねる殺人は、ある箇所では生来身についた怨念が噴出するようであり、ある箇所では優作的な確信犯のようであり、一貫性がない。一貫性のなさがリアルとも取れるが、それでは作品として訴えるものがなく、結局は無意識になされた右翼テロぐらいの印象しか残らない。過激といえば過激だが、生産的なものはない。脇筋もありきたりで、金がない患者を診察しない長尾敏之助の医師など(水銀汚染から逆算した時代では)あり得ずリアリティを欠く(ただ、原作者は在日コリアンだから、法的な事情があったのかも知れない。そう述べてくれないから判り難い)。

いいなと思ったのは次の二箇所。ひとつは信欣三の元刑事が庭の発掘遺体に辿り着くが、犬の白骨遺体に目を奪われてその下に埋められた岸田森を見つけられない件で、推理劇として見れば(違うけど)優れた心理トリックの類。もうひとつは緑魔子が生んだ唐の赤ん坊で、ここだけは渦巻く怨念が見事に表出されていた。

(評価:★3)

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