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[コメント] 天使の涙(1995/香港)

情念から自由でただ性欲だけがある乾いた世界。ゴダール以降のひとつの極北だろう。21世紀の本邦青春映画は全てウォン・カーウァイを意識しているはずだが、なぜか本作のレベルまで突き抜けない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







バスの同窓会勧誘も深夜のアイス開店も誰もいないマクドも金髪アレンも秀逸。ナラティブによる自分語りの連鎖は気障な積りがユーモアにはまり込む名調子。終盤はできなかった居酒屋開業と父の死で人情劇が挿入されるが、それだって心地よく乾いている。

映画はレオン・ライを因果応報で殺すが、主犯格のミシェル・リーを出鱈目に金城武と引っ付けて生き延びさせる。だから本作は全体に滅びる必要があるのだろう。神経症的な電車通過描写の連発は『生まれてはみたけれど』が想起される。再見。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)KEI[*] disjunctive

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