コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 雨(1932/米)

ハリウッド名作にたまにある過分に舞台調な作品のひとつ。心理説明無視の即物的で唐突な転換をどう取るかで感想は変わってくるだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







唐突にヒューストンの祈りに唱和するクロフォード。これが唐突に見える。クロフォードの回心は本心か偽装か、というサスペンスなのだろう。自殺(だろうか)直前のヒューストンの奇怪な表情が素晴らしい。しかし、直後のクロフォードが派手な化粧での再登場は再び唐突。偽装でした、というラストはあざといだけの感想が残る。雨の描写は余りにも狙いがはっきりしていてしつこい。

中盤のヒューストンの強引な牧師(知事に取り入ったりする)の鬱陶しさはもの凄く、不自由が人間の恰好して歩いているようなもので、昔はああいう風紀委員みたいな輩が町にごろごろいたのだろうというリアルがあった(もちろん、昨今はこういう人物がいなさ過ぎるとも云えるだろう)。夫人がただのブルジョア俗物というコンビネーションがまた絶妙。個人的には本作の成果は彼のキャラ造形に尽きる。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。