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[コメント] 殺人に関する短いフィルム(1987/ポーランド)

前半はショートコント集の趣がある。運転手ヤン・テサシが待ち客捨てての遁走とか、野良犬に与えるサンドイッチとか、青年ミロスワフ・バカが橋の欄干から石落としたら下で車のクラッシュ音がするとか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







これらをシリアスな後半に繋ぐのは強引でもあるが、『アマチュア』や『偶然』の監督ならやりかねない。コントは後半もブラックに続いていたのかもしれない。犯人は端的には、映画を観れなくて犯行に及んで死刑になったのだった。

殺人は酷いが、死刑も同じように酷い。首吊りの縄を狂ったように操作する死刑執行人に告発は篭められたのだろう。ポーランドの最後の死刑執行は88年で本作公開の年。死刑は共産主義体制とともに終わった。だから本作の批判はそのまま体制批判だった。執行は当日まで当人に伏せられている処など、本邦の制度と共通するところがある。相変わらず、よく体制内で撮れたものだと感嘆させられる。

妹が事故死して歯車が狂ったという犯人の告白は『偶然』の続きのよう。特に突き詰められないのも煮え切らないところだが、ここは見処ではないのだろう。銀残し(bleach bypass)系列の撮影はそれなりにいい。ポーランドは98年には「欧州人権条約」を批准して死刑は法的にも廃止。しかし現在も右派は制度復活を唱えているらしい(Wiki)。

(評価:★4)

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