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[コメント] 八甲田山(1977/日)

暗くて顔の見えない隊列というイメージがシュールの域に達している。『』のトンネルから出てくる兵隊と被る。師匠に影響を与えたか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ただカットが変わる毎に画面が青っぽかったり緑がかっていたりで統一感がなく、撮影の苦労話というレベルでは面白かろうが鑑賞には辛い。地理的な方向感覚の乱れや寒さの繊細な描写が盛り込まれればいいものになっただろうに。話も単調、愚鈍な上層部への恨み骨髄は判るが類型的。

しかしながら、先の大戦ではあのように大陸で大勢の兵隊が、出鱈目な指令で行く宛ても定まらず徘徊したのだと思うと慄然とせざるを得ない。映画は明快にしていないが、この明治の教訓が生かされなかった、というのが作者の云いたいことであり、ヒットした要因のひとつでもあったのだと推し量れば、心に沁みるところがあるので1点加点する。なお、当時のことゆえ、連隊を見離した「天」は当然、現人神のことである。

妖怪みたいな秋吉久美子がいい。連隊を送り届けた後、もう夜なのに帰路につくのはおかしいが、彼女が妖怪変化だとしたら納得されるところである。あんな山奥なのだ、一匹ぐらい出るだろう。これも勝手な解釈。

(評価:★4)

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