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[コメント] 婉という女(1971/日)

増村の下手糞な模倣みたいな前半は弱ったが、元祖『ジョゼ』みたいな後半は面白くなる。岩下志麻が犬になってワンという訳ではない。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







前半は鶏の交尾とか乳絞る姉とか狂った河原崎長一郎の近親相姦とか「女の体には魔性のものが住んでいる」とか増村好み。エロは権力への抵抗というのは71年の邦画の常道だったのだろうが、別に今井正が撮る必要はないだろうに。『砂糖菓子』に続いて自分の方法がブレているように見えてしまう。『越後つついし』などはエロがないからいい作品なのだと思う。

しかしともあれ、集団自害に抵抗して生き続けた岩下の生涯は素晴らしいだろう。後半は岩下志麻が下手糞な炎との二重写しで自分の胸揉んだりはするが落ち着いてきて、文通相手の山本圭の鈍感な造形への愛憎となり面白くなる。最後の殿様行列に突進して行き過ぎる岩下の件が素晴らしかった。四十年の幽閉に対して、何と小さな抵抗だろう。

なお、岩下に駆け寄り河原でズッコケてそのまま膝まづく北大路欣也のショットは珍品。何であれでOKを出したのだろう。予算がなかったのだろうか。

(評価:★3)

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