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[コメント] かげろう(1969/日)

いらぬ力入り過ぎなのか、珍しくとっちらかった凡作。尾道の離島が舞台で富山真沙子は富田靖子似で、本作の物語は『さびしんぼう』の背景なのではという貴重な発見があったが、作品の出来とは無関係。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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横溝正史みたいな因習に起因する連続殺人話。乙羽信子の来歴を追いかける断片の積み重ねは面白いのだが、その核心に至るととたんに詰まらなくなる。難破したときは船を出してはいけないという因習で子供に後遺症が残る、という訳だが、そもそも何でこんな因習があるかがさっぱり判らず、求心力に著しく欠ける。村人が難癖つけられているだけの印象しか残らず不鮮明。その子がなんで忍者なのかもよく判らん。何なんだ。

戸浦六宏の刑事と乙羽との関係から、インサイダー物かと思わせて全然そうではなく、戸浦が終始格好つけているだけに見えるのも退屈。吉沢健に嫌疑がかけられる展開は強引に過ぎる。最も許し難いのは富山との同衾シーンの手抜き。本作で印象的なのはすっぽんぽんで頑張る乙羽であるが、乙羽と富山でこんなに落差を設けては駄目だろう。あと、豪華俳優陣が次々と端役で登場するのは豪華でいいのだが、赤座美代子がワンカット横顔だけなのはガッカリした。

さびしんぼう』については、離島住まいの富田が何で身を引くのか、詳細が語られずとても印象に残るのだが、本作の「花崗岩ばかりで美しいけど麦と芋しか作れない貧乏島」という説明を聞いて、新藤は出身地に近く正確なものだろう、マニアの大林は当然本作を観ているはずだから、この設定が下地だったのかなあと思った次第。

(評価:★2)

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