小泉今日子のために職業訓練校に通い始める吉岡秀隆。しかしその収束からは再建を志す放浪の映画館主西田敏行がはじき出されている。山田監督の生真面目さがなぜかここにはなく、これでは西田が能天気な阿呆どまりではないか。映画（館）愛を謳ったシリーズが空中分解している。ベラフォンテの「バナナ・ボート」は映画で有名な曲じゃないし（「僕は泣いちっち」は映画があるらしいが）。

西田が哀川翔の働く土砂採掘現場に『風の谷のナウシカ』の上宣カーで現れて「自然破壊への警告」と唱える件はすごい。その後の哀川を立てるニュアンスは大人だが、ここまで云った責任を回避しているだけとも思える。煮え切らない作品。