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[コメント] 女刑御禁制百年(1977/日)

官憲の拷問を扱った傑作『拷問百年史』の続編でこちらは民生版、娘と妻と女中の折檻噺。全ての描写は顰蹙ものだが、オスとして生きるのを自制させる効果抜群という意味で啓発的なのかも知れず。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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切支丹ご法度と折檻する旦那様、河原で死んじゃうお嬢様ユキ。家臣の東五郎はキリスト教を逆恨みしながらお嬢様を死姦して後追い自殺。これでは淡泊かつ阿呆らしい。三作のうちこの一作目だけが熟度が何もない。二本じゃおかしいからと知恵の出ぬまま付け足されたのだろう。

所かわって浮気の和姦。感づかれて亭主の折檻。お米は亭主でもいい。浮気相手の作治は待ち伏せで和姦。亭主気づいて「末吉妻」と入墨彫り。作治は入墨見て逃げてしまい(俺の名前も末吉だぜ、というオチを想定したが違った)、亭主も立たず、しかしお米が浮気をバラスと猛烈にやる気になり、ここにはプルーストの嫉妬と恋の認識がある。このお米さんが別嬪で亭主が伊藤雄之助みたいな味がある。若松はセックス描写は淡泊だがこの件は意外と熱心に描写している。最後の焼け火鉢は主題を擦り合わせるためなんだろうがちとやり過ぎ。ここだけ抜き出してポルノコメディにしたら、いいものになっただろうと思う。

最後は実話らしい昭和七年名古屋。妻を亡くした徴兵拒否男が女中を強姦監禁して挙句に絞殺して陰部を切り取って神社で首吊り。この男優は顔の小さい仲代達矢みたいで仕方のない男の哀れをよく出していて、男として生きているのが厭になった。ときに、何が百年だったのだろう。

(評価:★3)

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