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[コメント] チワワちゃん(2019/日)

資本に消費させられた「自爆テロ」の顛末記。昔のMTVみたいな撮影美術に劇伴で、ハーモニー・コリンみたいな批評が当然加わるのだろうと思いきや何とそれだけ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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序盤、盗んだ六百万円で催されるパーティを「私たちの青春は自爆テロだった」と門脇麦は回想する。そして終盤、脈絡を合わせるかのようにシンガポールだがのテロ災害の映像が入る。結局、自爆テロなんてのは彼等彼女等にとって充たされぬ心情の装飾品でしかない。敵は自分のなかにある退屈でしかないし、満たしてくれるのは物欲でしかない。岡崎京子ってのはそういう時代の何かを代表した人だ。

吉田志織が殺されて、まあそんなもんなんだろうなあという感想をもたらす作劇ということか。殺されても大して哀れでない友達。涙を流している二三の友人を門脇が冷静に眺める目線ばかりが記憶に残る。最後のお別れに集まったけど、明日からは彼女のことをすっかり忘れる日々が始まる。ノアールのドライ風味だが、ありふれたものだ。

就職活動の成田凌が「いちご白書をもう一度」の昔と違うのは強姦始めることぐらい。門脇だって親の美容院継ぐんだろう、ぐらいの温い収束。こういう連中が商店街のウルトラ保守に転向するのではないかという個人的偏見を持ってしまった。

吉田志織の飛び込み台からのプール落下など、撮りたいシーンだと思うのだが編集でさっさと飛ばしてしまう淡泊がつまらない。エンドタイトルで♪僕らの時代 と歌うに至っては滑稽。見処は二重顎で姐御風になってきた門脇。

(評価:★2)

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