コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] コンクリート・ジャングル(1960/英)

何故か絶対観なくてはならないような気がして立ち見までして観たのだが、帰りの電車でそうだタイトルは「刑事くん」の主題歌のフレーズだと気づいて唖然とした。実にどうでもいい動機だった。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







もちろん、映画は桜木健一とは何の関わり合いもなかった(ボブ・マーリーも関係ない)。

監督カット版から30分ほどもカットされての公開らしい。本作は話法の飛躍に面白い処があるのだが、それが監督の意図なのか、カットされたための結果なのか、よく判らない処がある。刑期を終えたスタンリー・ベイカーがアパートに帰ると(何か仲介の人物もでてきたが)パーティで盛り上がっている。どんな自宅なんだと呆気に取られる面白さがある。犯人探しに至らない終盤の抗争もそうだ。これら飛躍はその場その場では愉しめるのだけど、全体を振り返れば残っているものは余りない。表層的に愉しむだけなら上等だが、それ以上ではない。

撮影美術はとてもいい。乱痴気パーティでテーブルにスライディングして向こう側に落下する泥酔女のショットがマイベスト。ラストは河岸に停泊する船に敵を閉じ込めてエンジンを捻り、船が川を出鱈目に進むのがとてもスリリング。そして雪降る畑のラストも印象的。突然神に祈りながら死んでゆくスタンリー・ベイカーが唐突かつ異様だった。音に繊細な演出もいい。冒頭の出戻り収監者がリンチされるであろう場所へ降りてゆく件は、他の収監者のどよめきがノイズのようでベルイマンを先取りしておりとても印象的。ピアノの調律師がなぜか部屋にいて作業中、グラス鳴らす音や鳩時計の音に邪魔させる件はユーモラス。

講演付で鑑賞。『コンクリート・ジャングル』は米国公開の際、亡命中の監督作でないよう誤魔化すため変更されたタイトルで、ロージーは『アスファルト・ジャングル』のパクリじゃないかと嫌がり、あの監獄は煉瓦製だと云ったとのこと。二階三階までクレーン大活躍の監獄セットは、奥行きを鏡で示してあり、実際は視覚の半分ほとのセットらしい。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。