コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 青春前期 青い果実(1965/日)

超人太田博之の学園告発を描いて激しく、意識高いのに感心する。タイトルは酷く、日活はすでにロマンポルノの内容無視を始めている具合。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







日活青春映画で現状告発はしばしば繰り返される主題だが、ここでの太田博之はまるで『人間の條件』の梶のように超人化されていてその点ユニーク。その告発は推理劇っぽくて面白い。当時の学生はこんなに意識高かったのか、それとも理想像なのか。高校でも学生運動していたのだから前者寄りなのだろうと思わされる。ただ、不能者という位置づけは半端で何なのかよく判らない。

太田雅子の造形については、夜間外出の引け目から強姦を告発できず、噂の蔓延よりも自分は汚れたのかとばかり悩むのはリアリティがあるが、汚れていないから抱いて、なんて一足飛びに訴えるのはちと飛躍し過ぎではなかろうか。これを納得させるほど、博之に惚れているとは見えないのだった。

本作の彼女は顔だけ見ればイモ姉ちゃんで(失礼)、製作者たちは数年後のあの美貌をすでに察知しているのだろう、さすがプロは違うと唸らされる。撮影はとてもいい。繰り返される歩道橋からの夜景が良好、温泉宿へ向かうW太田の件などとても生き生きしている。

初井言榮山岡久乃は姉妹のように似ており、ふたりが画面で折り重なると幻惑される。強姦は単独犯だと民事だが複数だと刑事事件になるというのは勉強になったが、しかし山岡はよくそんなこと知っているものだ。ジャズ喫茶で演歌を歌うのは変。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。