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[コメント] ハナ 奇跡の46日間(2012/韓国)

端々に配慮の行き届いた演出が素晴らしく、勝利にガッツポーズをする監視員たちが極めて印象的。韓流だからこそ語れた理想。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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韓流ドラマの安っぽさがここでは重い史実と化学反応を起こしており、大して観ている訳じゃないから想像に過ぎないが、このジャンルの最高の達成ではないだろうか。まさか国際大会の代表がチェ・ユニョンのようなアタックをするはずもなく、これぞ韓流の文法、南側の青年たちの云わば軽薄賛歌という側面が重要なのであり、これを北側の人々と並べると、とても微妙なニュアンスが醸し出されている。

過度に人間性を表現する韓流というジャンルは、北朝鮮との緊張が生み出したビジョンではないか。同じ民族なのになんで彼等はいつも冷淡で泣きも笑いもしないのか、という韓国人の疑問が、自己確認のために韓流を創作させ続けているのではないだろうか。そう考えると、本作は韓流が本来向かうべき相手にその流儀をぶつけた作品ということになる。だからこその傑作じゃなかっただろうか。

選手たちが素振りをして、CGでピン球を往復させれば卓球映画になるんだ、と感心した。CGが本作を可能にしたのだから、これからはあんまり悪口は云わないでおこうと思う。

事実を元にしたフィクション、はどこまでが事実かがいつも引っかかる。本作、中国への敵視とも取れる反則の件はどこまで事実なのだろう。ぺ・ドゥナの病もどこまで本当か気になる。韓流のようなパロディは、事実と違うという指摘を巧みにかわす技法でもあるのだが。

ラストの写真もいい。最も美しいのは原題の「KOREA」だ。あの当時印象的だった統一国旗を再び見ることができるのはいつなのだろう。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)irodori[*]

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