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[コメント] 山猫令嬢(1948/日)

日中の市電車中で爆発する三益愛子のベランメエな造形、おおこれがかの「母もの」かと賛嘆を禁じ得ない迫力。置屋に闖入するおぼこい三條美紀の違和感の生々しさ。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







メロドラマとは階級差がリアルな時代の産物、時代が下るにつれてどうしようもなく空々しくなるのであり、本作には40年代の引揚者の苦難があったればこそのリアリティが残されている。

金持ちのボンボン小林桂樹に救われるラストはとても空虚だ。三條の美貌なかりせば成立しないのだから。私など女の強かさを見る思いがする。本作観て上昇志向で女に磨きをかけて、結局水商売に埋もれた者も多いんじゃなかろうか。

高田稔の先生が父親と判明するという、後半に近親者が続出する文法も通俗小説の世界。さめざめ泣くラストも女たちの共感は生むのだろう。この辺は退屈したが、どこを切っても典型的なメロドラマ、ジャンルを確立させた価値は高かろうと思う。

(評価:★4)

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