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[コメント] カエル少年失踪殺人事件(2011/韓国)

犯罪事件の実録物は、かつては日本映画の得意技であったが、近年は韓国にお株を奪われている。本作も秀作。緊張感が全編を覆っている。系譜は海の向こうで引き継がれている。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







どこまで事実なのか不勉強にして知らないが、こんなに踏み込んでいいんですかと観ているほうが躊躇してしまうほど、被害者の心の闇を描いている。あの教授(地位も名誉も失った)も、実は被害者家族の小さな嘘に騙されていたのだ。この終結の見事などんでん返しが味わい深く、アガサ・クリスティの傑作長編のような感慨が残る。系譜は引き継がれたたけでなく、更新されている。

冒頭も好きだ。CG処理がとても品がいい。しかし、この赤マントを地面に落ちないように年長の少年が結びつける件(本結びではなかった)は、どういう含みがあったのだろう。事件の始まりを示すサインなのか。最後の幻想ではこの結び目は解かれているから、そう解するのが妥当なのだろうが、集団自殺を仄めかすようにも取れる。深読みが過ぎるのかも知れないけれど。

あと、主人公のTVディレクターがなぜ本社に呼び戻されたのか、説明がないので解せなかったが、スキャンダルが局に評価されたんでしょうね、多分。なんともシニカルな話。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)おーい粗茶[*] セント[*] ぽんしゅう[*]

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