[コメント] 早春(1970/英=独)
引きつけられるのは配色の素晴らしさ。原色のポップさにエージングが施されて渋い。当時のゴダールの極彩色を批評した具合だ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そんななか、冒頭の流れる血糊のイメージが最後に現実のものとなる。色彩の映画だ。
構図も厳密なもので、『出発』の冴えが続いている。『シャウト』になるとこれに飽き足らず脱線を始めるという経緯なのだろう。凄いなと思ったのは、ジョン・モルダー・ブラウンがジェーン・アッシャーを追って地下鉄に駆け込む件で、彼女の等身大パネルが扉に挟まるのを横移動のキャメラが完璧なアングルで捉えてしまう。どんなカメリハをしたのだろう。
話はマザコン美青年の性的受難もの。敏八映画との同時代性が感じられる。モルダー・ブラウンはオバサマ連から味見したいと云われるタイプで、存在自体が全てを語っている。アッシャーの魅力は云うまでもなく。
それにしても、But I Might Die Tonightを唄ったキャット・スティーブンスはイスラム教に改宗し、スコリモフスキーは本作と正反対の世界観を持つ『アンナ』を撮ることになる。色んな年齢の重ね方があるものだと思う。
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