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[コメント] 故郷(1937/日)

夏川静江の抗弁の弱さが致命的(も少し云うことあるだろうに)だが白熱する愁嘆場はみせる。藤間房子のおっ母さんが立派だ。カット割りは流麗で巧みなもの。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







休み時間に校庭を見回り、みんなと遊んでいない児童に声をかける丸山定夫の教師が印象的。私の学校生活では、そんな先生はひとりとしていなかった。当時は当たり前だったのか、劇作の上での虚構なのか判らないが、いじめ防止には教師の余裕が必須だと思わされる。

最初の頃にちらとラジオで、己の分を知って他を羨まず云々という「非常時における農村青年の覚悟」なる講演が流されるが、その後の物語はこれをなぞっている訳で、何やら儒教道徳っぽい話に納まってしまう処に作者の限界を感じる。地元有力者たちには何もしようとしない(教師は辞めてしまうが)。ともあれ当時は絶不況、ミゾグチ系の絶望一歩手前な夏川静江に時節の風は冷たかったのだろう。

(評価:★3)

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