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[コメント] 小麦の買占め(1909/米)

ストローブ=ユイレが『四部の提案』で全篇引用した作品。資本主義の典型的な悲惨が15分に整理されている。グリフィスは赤狩りは大丈夫だったのだろうか。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







冒頭、畑に麦蒔く夫と老いた父の画が素晴らしい。裸木が並ぶ冬の風景、後ろから畑鋤く二頭立ての馬。最後に繰り返されるが、病んだのだろうか、そこに父はいないし、借りられなかったのか、馬もいない。収入のないことを知った妻娘のがっかりした寂し気な佇まいは忘れ難い。

小麦買い占めたブルジョアは醜女に囲まれてパーティ。ひとつひとつのシークエンスが長すぎるのは時代。価格暴騰、パン屋にはusual 5ct loaf will be 10ct’sの看板。客が苦情を云うのはブルジョアではなくてパン屋だという処に、資本主義の端的な問題が浮き彫りになっている。最後に小麦王は小麦倉庫で小麦に埋もれる。表現主義的なイロニーが叩きつけられている。

(評価:★4)

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