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[コメント] 結婚相談(1965/日)

60年代の悪女もの傑作群と並べれば大いに見劣りがする。目元の小皺を強調までした芦川いづみが気の毒。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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精神病的なノアール系の作品なのだろう。たかが三十路の未婚で「本人か家族に欠陥があるのでは」と疑われる脅迫神経症を女性が一斉に病んでいた時代背景はえげつなく、作品はこの記録として優れている。芦川いづみが転落して、ついには精神病者と同衾するに至る悪夢の展開。円地文子原作。なんか凄そうなのに、どうも上手くいっていない。

沢村貞子の相談所詐欺になぜ芦川が進んで騙されるのか。金を受け取っただけで売春になるという騙し方も苦しいのだが、そんなことより、芦川は高橋昌也の借金返済のために仕方なく同調した、という煙幕の張り方が詰まらない。すでに『女は二度生まれる』も『女の小箱』も撮られた時代にこれでは平凡。芦川が上記の時代の犠牲者ならば、無意識に懲罰を望んでいる必要がある。彼女自身が望んだ地獄巡りでなくては見応えというものがない。そこまで深入りする気がないのなら、見合いの連発だけのギャグ映画の方がよほど好ましいし、芦川にも合っている。

失礼な憶測だが、本作、芦川にやる気が見えない。演技はクールなばかりでこれという山場がなく、ポイントを逃している。高原駿雄との結婚を予感させるという微温的なラストなど、突っ立っているだけだ。さらに失礼な憶測だが、彼女、中平が嫌いではなかったのだろうか。

細川ちか子の息子の件で芦川が母性愛を示すのも、ここだけ観れば美しい(岸輝子が適材適所)のだが、総体としては場当たり的で脈絡がない。街宣車の音楽やら沢村の悪事の発覚やらのブラックユーモアも笑いが取れていない。どうにも散漫な演出。前年の『月曜日のユカ』の好調はどこへ行ったのだろう。なお、こういう異常作における浦辺粂子のフツーさは感動的。

(評価:★3)

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