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[コメント] スミス夫妻(1941/米)

ヒッチコックは当時のハリウッドでも階層を墨守した筆頭格だろう。同じイギリス出身でもチャップリンとは正反対と思わされる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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結婚記念日の会食は浮浪児に取り囲まれるが、彼等は遠ざけるべき対象に過ぎず、キリスト教的な道徳すらまるで感じさせない。ロバート・モンゴメリーはまた、サウナで親しくなった男の粗野な会食に出向き、パセリを丸齧りしチャプスイ(アメリカ式中華)を好むお相手の蛮行に合い、逃げ出す抗弁に出した鼻血を暴力的に治療されるのだが、階層を跨ぎ越すのが美徳である現代喜劇なら、このふたりは結婚に向かうだろう。しかしヒッチコックはそんなことはしないのだった。昔の映画だなあと思う。

役所の手違いから結婚していないことになったふたりの浮上するいがみ合いは、何か明らかな原因や障害というものが提示されないため、観客は制作者の任意で解決するだろうといういい加減な見通しで劇を眺め続けることになる。観客は劇に参加できない。そのためにひどく退屈な時間を過ごすことになる。ベストショットは遊園地のアトラクションの故障によるキャロル・ロンバードジーン・レイモンドの雨ざらしだろうが、ふたりは何か道徳的な罰を受けている具合で窮屈である。終盤の雪模様のなかロバート・モンゴメリーは気絶して倒れるとき、体躯をカバーするために手を脇にかざしてしまっているのも失点。

(評価:★2)

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