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[コメント] 廓育ち(1964/日)

エンタメ化をはじめた東映廓ものだが佐藤純彌らしい強引なタッチが冴えている。幸薄そうな佐々木愛が抜群。すでにヤサグレている緑魔子との裏口での雑談など素晴らしい。「結婚したら亭主とタダでせなならんのやで。阿呆らし」。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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最初から三益愛子が母もののようにぶっ飛ばしている。「13で初見世で、33まで稼ぎまくって店持った」「男はんの体躯の重みは、そのまま札束の重みやで」小6の娘を爺さんに性教育させる。こういうのはエンタメなのかリアルなのか、いつも考えさせられる。

俯瞰キャメラで寝たきりの三益蹴とばす三田佳子の迫力素晴らしく、演技開眼の作品と云われる。学校を退学になり「学校だけは差別のない処だと思っていたのに」と告白する科白がいい。ホント、学校とはそういう場所であるべきなのだ、世界中で。継いだ置屋はみんないなくなり、最後に残っているのが相生千恵子、哀愁の忘年会。

梅宮辰夫は三田を裏切るために登場するかのようで、すでに彼の得意技。緑魔子は「お前は夜店で売っているガラクタ」と云われてどうなるかと思いきや終盤は登場しないのが残念。進藤英太郎は高値安定。毒殺される宮口精二の悪役は珍しい。このラストはちと凝りすぎかも知れないが、見送る佐々木が可哀想なので成立している。

東映的には『五番街夕霧楼』の続編。昭和32年の売春防止法成立を政治家絡めて実録風に見せるのが興味深い。禁止法でなく防止法に和らげたのも、花魁や芸者を残したのも政治家の成果と語られ、他方で売春汚職なる言葉があったのを記録している。慰安婦でお国に貢献したのに、今になって防止なんて虫が良すぎると進藤が苦虫を噛み潰した。

(評価:★4)

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