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[コメント] 淑女超特急(1941/米)

ルビッチの三人限定のコメディはどれも盛り上がりに欠けるんじゃないか
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







大傑作『桃色の店』と『生きるべきか死ぬべきか』の間に撮られた作品で、無茶苦茶期待していたのだが、残念ながら私には大したものに見えなかった。

感想は『生活の設計』や『極楽特急』と同じで、断片的には面白いのだが総体としては小粒。これら三作は三人のやり取りに限定されるコメディな訳だが、これ、ルビッチの方法ではどう捌いても感じの良い爆笑の収束が生まれない、ということなのではないだろうか。

本作については、亭主も主婦も打算から元の鞘に収まるというシニカルな収束で、皮肉は効いているがそれ以上のものはない。あとはまあ、三人のうち誰かはみ出しちゃうしね。私としてはルビッチに学んだと云われる小津の『淑女は何を忘れたか』の方が数段面白い。好みの問題でしょうけど。

マール・オベロンが犬の鳴き声で機嫌よく寝ているメルヴィン・ダグラスを起こすと寝ぼけたメルヴィンが飼犬を寝室の外に放り投げる。今の私よ、とマールが云い、外で飼犬が吠えると、メルヴィンが今度はマールに黙れと怒鳴る。こういうギャグは実に面白い。面白いが、これが全体を覆うという映画の至福には至らない。

(評価:★3)

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