[コメント] ミクロの決死圏(1966/米)
原題も含めて子供向けなのだろう。優れた薀蓄とホノボノした美術で初期SFの愉しさが満喫できる佳作。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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冷戦下の怪しさが昔話になったから、そんな感想になるのかも知れないが。
人体の不思議を勉強させてもらって、生命って大事ね、という感想が自然に出てくる。そういう大切な処を、映画は教訓など一言も云わずに、ただ司令官がぶちまけた砂糖に集った蟻を潰すのを躊躇するギャグで観客に示している。こういうスタンスはハリウッドの素晴らしい処だ。私も煙草を控えようと思った。
個人的には流れて行く赤血球と、シナプスの間に電気が走る描写が気に入った。抗体の活躍も頼もしい。(追記)同じ水中の薀蓄映画ということで、潜行中の寡黙な雰囲気など、クストー『沈黙の世界』(56)とのタッチの類似を感じる。多分参考にされたのだろう。幽体みたいな血球は、当時のベルヴェット・アンダーグラウンドやピンクフロイドのステージでのライティングを想起させる。サイケ・ロックの大ブームは67年だから本作の1年後。美術の世界はジャンルを横断して通底していたに違いない。
ただアクションは、冒頭のカークラッシュがいいのに比して体内は地味。ラストは、潜水艇が抗体によって破壊されていなかったらどうするのだ、とか、隊員の尺が戻る際に四人の間隔まで広がるのはおかしい、とか、納得できないことが次々と起こって巧く決まらなかった印象。
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