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[コメント] 新道(1936/日)

菊池寛らしい貴族階級のメロドラマで、リベラル子爵の娘の結婚観が母性を得て「新道」を示す、なんて話を撮れたのは、もうこの二、三年だったんだろう。可愛い凸ちゃんはまだ子供、十五歳と年齢詐称しているが十二歳のはず。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「結婚しても別々に生活して逢いたいときに逢うの」と煙草吸う貴族の娘田中絹代の自由恋愛は、死んだ佐野周二の子宝に恵まれ母性に目覚めて自活を決意。佐野の弟の上原謙に「女性の自活は今の世の中無理ですよ」と諭される。戦後もずーーっつと続けられた女性のジレンマがすでに取り上げられており、その先駆性に驚くべきなのかも知れない。

終盤はこの上原がトリッキーな法律読解で絹代に求婚するという結婚コメディのハッピーエンドになる。絹代にフラれた山内光川崎弘子に求婚するのもコメディに見えたが成立してしまい、フラれた佐分利信はボヤいて終わる。何かドタバタしてどれも纏めてられていない。

私的ベストショットは前編の終盤、は佐野(墜落死済)を探して電話ボックスをハシゴする絹代の件で路上のシルエットが禍々しく、号外の新聞売りの振る鐘も禍々しい。絹代と佐野が室内で逢引きしているとき、窓の外から馬鹿でかいサイレンがなりふたりが吃驚して立ち上がる件があるのだが、その先は示されなかった。あれは何だったんだろう。編集が適当なのか後日切られたのか。

佐野と上原と佐分利の御三家勢揃いがウリの映画だったらしい。大山健二と笠智衆もタイトルに名前があるのに発見できなかった。佐野の部屋に飾られてあるポートレートのエリザベート・ベルクナーは『イブの総て』のモデルになった女優で当時現役。

(評価:★3)

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