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[コメント] 牛泥棒(1943/米)

おおこれがかの有名な自警団かとビビらされる。いまのホワイトハウスの内情もこんなものなんだろうと思うとリアルで怖い。
寒山

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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本作は戦時中の作品、普通は愛国心を闇雲に盛り上げる映画撮るだろうに、本作は南部の因習を切り刻んでいる(南北戦争への言及まである。舞台は終戦後20年の設定)。この度量の広さが素晴らしい。本作の最後に戦時公債募集が挿入されるが、その対戦国の映画はもう忠臣愛国しか説いていない時代な訳で、「法こそ良心」などと云ったら笑われただろう。彼我の差に唖然としてしまう(英Wikiによれば市場価値なしとして完成後数か月棚上げにされたらしい、やっぱり。監督の自主企画作品)。

少佐のフランク・コンロイの突然の登場(いつの間にか群衆に混じっている)がカフカっぽくて怖い。登場人物はろくでもないのが揃っているが、特に恐ろしいのは肥ったおばさんのジェーン・ダーウェルで、あの笑い声は明らかに魔女を連想させている。信心深いリー・ウィッパーは重要視されており(反対票を最初に入れるフルショットが逆光で捉えられる)、黒人をクローズアップした作品としても重要なのだろう。途中で抗弁を諦めてしまうダナ・アンドリュースが切なすぎる。「奇妙な果実」を影て捉えるショットはお約束だがビビる。エキサイトする自警団を語り切って見事。素人相手だろ、ヤクザよりたちが悪いよ。

メアリー・ベス・ヒューズ登場は余りにも意味がないが、まあ綺麗処のお愉しみショットなのだろう。冒頭のバーにかかっている、悪魔が豊満な美女の部屋に忍び込む画は何なんだろうと観ながら考え続けていたのだが、結局ただの単発ギャグだった。この辺りはもちろん些細なこと。本作の舞台はネバダ州だが、トップとラストに猫とともに挿入される「峠の我が家」はカンザス州歌、ただし制定は47年とのこと。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)ゑぎ[*] ナム太郎[*]

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