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[コメント] 列車に乗った男(2002/仏=独=英=スイス)

制限時間付の異業種交流を語ってフランス古典名作短編の趣。収束は物足らず。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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酒場の昼食で老教授が騒がしい客を注意する件がいい。客は突然に詩の朗読を始め、先生の生徒だったと告げる。悪漢になり切れない教授が可笑しいし、ちょっと夢幻のニュアンスがある。こういうエピソードの積み重ねはとてもいい。

収束の「交換」は唐突に思える。老教授の流れ者への憧れに比して、流れ者の老教授への憧れが弱いから。この話なら老教授の片想いで通すべきだし、「交換」をしたいのであればもっと別の逸話がなければいけないだろう。これではバランスを欠いている。

銀行強盗を応援する老教授に対しては、一方で道徳的に罰が下されなくてはならない。この点についても、仲間割れという説明は中途半端だった。堂々成功するか、教授の密告で失敗するか、ぐらいのことがあってもいい。ラストの夢想はどうもこの、事実の平凡さを誤魔化そうとしているように見えて芳しくない。あと、入院直後に手術する病院などあり得ない。

(評価:★3)

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