コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 河内風土記 おいろけ説法(1961/日)

赤色劣化激しい身障者ネタ連発コメディで、いまや免疫のある好事家限定作。今東光の説法も大したものではなく、渋谷『気違い部落』にも遠く及ばない。田原知佐子千之赫子環三千世ときれいどころが並ぶので惜しいんだけど。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「キチガイ部落にはキチガイしか来よらへん」などの科白があり、原作は「気違い部落周游紀行」の関西版と呼ばれたらしいが、きだみのるのような閃きはない。舞台は山村ではなくて町中だし、みんなエロに精出しているぐらいのことだ。村の真ん中にストリップ小屋、亭主がいなくなった女房の園佳也子は近所の男たちと売春して暮らしている、というはポルノ映画好み。どこまで写実なのか。

隻眼の田原知佐子も、脚の悪い中村是好も、当時の医学レベルの反映でああいう状態で放置されたのだろう。田原の恋人の脚の悪い夏目俊二は健常者への恨みを語り、デートは苦しいものに見える。この苦しさはなぜか最後まで放置されて、森繁の説法の対象にもならず、映画を煮え切らないものにしていた。

当時の障碍の状況は記録されたらいい。ただ、是好がチンバと呼ばれてさんざ揶揄われるのは時代で、別にあの村だけが異常なのではなくて、これで笑う観客がいるから小説になり映画になったのだろう。当時の知的レベルはそんなものだが本作は派手。しかしそんななか、外国人の周さん(天王寺虎之助)が特に差別されていないのが、作品の主張なのかも知れないとは思った。

お寺が地域のコミューンで坊主の森繁が最後に色んな裁定を下して一件落着になる。それは真っ当(処女性など結婚したらどうでもいい等)ではあるが、さほど大した裁定でもない。昭和の怪人今東光はこの程度かと思わされて映画は終わる。八尾市の天台院は実際に作者が務めた寺で、美術は様子が再現されているのだろう。山茶花究はただの暇人だったのだろうか。巨大な川は大和川か。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。