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[コメント] 下女(1960/韓国)

余りにも本格的な撮影美術に余りにもトンデモ展開の昼メロ。ど派手な音楽がとてもいい。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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内田樹似のキム・ジンギュと可愛かずみ似のイ・ウンシム。奥さんも息子もどうしようもない人間ばかりで、どうしようもない関係が煮詰まりゆく過程に迫力がある。寝取って翌日からいきなり「ダーリン」がまず素晴らしい。

台詞から当時韓国には姦通罪があったと判るのが興味深い。ジンギュが先輩と酒飲んで、奥さんが訴えなければ姦通罪はなく話し合いが重要、という先輩の至極全うな意見に対し「先輩なのにそんなことしか云えないのか」とジンギュが逆ギレするのが爆笑もの、続いてタクシー運転手への「地上の外へ連れ出せ」という極端な命令も切れ味抜群である(このときの仰角アングルが素晴らしい)。この辺りのトンデモ展開に客席は爆笑の渦と化した。トップクラスの昼メロだ。

ピアノを習いに通うオム・エンナンがどんどん引っ込んで行き、ウンシムが全面に出る展開はなぜなのかよく判らない。分身ということなのだろうか。ベストショットは毒見にコップの水を飲み、大丈夫なのかと息子のアン・ソンギも水を飲むと、おもむろに口に含んでいた水を吐き出すジンギュ。

階段を大いにに活用したという訳ではないが、階段のセットはとても印象的。『サイコ』『風の中の雌鶏』『毒薬と老嬢』など階段セットの名作が思い出される。古臭い台所のセットも印象深く、殺鼠剤がヤバいというネタは昔の邦画でもお馴染み。ジンギュはなぜ工場の音楽教師ぐらいの勤めで家を建てるほど儲けたのか不明だが、昼メロだからどうでもいいのだろう。渋谷ヴェーラは立ち見が出た。

(評価:★4)

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