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[コメント] 凶気の桜(2002/日)

「好き嫌いはっきりさせるのが大人だろう」という科白にはグッときた。はっきりさせる処に何の閃きもないのはタイトルを見れば直ぐに判るが。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







第二次大戦後・ソ連崩壊後、国粋映画は急激にお目にかかれなくなってきている。映画がほとんどの場合、国際的なマーケットを意識して撮られるからであり、これは健全なことだが、本作製作の当時は本邦の出版界は相当に右傾化していたのであり、出来不出来にかかわらず、こういう作品がひとつぐらい残されたのは、記録として意味があるのだろう。

という視点から本作を眺めるに、冷凍保存する価値があるのはキングギドラの腐ったような極右賛歌のテーマ曲であり、本編は軟弱。前半はそれでもファミレスの件やバスの席を譲る譲らないの件などいい場面もあるが、そこから連れて行ってくれるのはただの東映任侠映画というのがバカバカしい。他に何かなかったのか。

しかも仙元誠三ともあろう人が、映画学校卒業作品並の思い付きに唯々諾々と従っている図が惨めな気分にさせられるばかりの下手糞なデジタル演出の連発。この演出こそ、昭和は遠くなりにけりという情けない感慨を喚起するのだとスタッフが気づいていないらしいのが、国粋映画として最大の欠点だろうと思う。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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