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[コメント] 白昼堂々(1968/日)

藤岡琢也の代表作として尊重されるべき佳作だが総体淡泊。ベタ喜劇としてのしつこさに欠ける。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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原作もいいのだろう、状況描写がとても穿っておりスリものとして上等。うらびれた東京湾一周遊覧船での談判の呼吸はとても優れており、続く山場の強盗騒ぎはネタ豊富でいい。フランキー堺の悪徳弁護士はさすがの造形、ベストショットは最後に突然やさぐれて警官に太腿の入墨みせる倍賞千恵子渥美清の「しばらく見ないうちに随分合いませんでしたね」はいいギャグ。

しかし何か足りない感が蔓延している不満を感じざるを得ない。松竹オールスターが入れ替わり立ち代わりの各断片はいいのだが全体を繋ぐものに欠けるのじゃないのだろうか。本作の主役は藤岡琢也で、その義侠心は美しいが単線的で淡泊。森崎なら廃炭坑のスリ組合という優れた設定にごりごりに密着するだろうし、山田洋次なら渥美と倍賞の関係をもっと彫り込むだろう。そういうベタ喜劇としてのしつこさに欠けるのだと思う。人情刑事の有島一郎が最後に夫婦旅行というのも、何か皮肉交じりで違うんじゃないのだろうか。

(評価:★3)

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