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寒山拾得さんのコメント: 点数順

★4あの日のオルガン(2018/日)疎開保育園が最善を尽してもなお、子供らは保護者といた方が幸せだったのではないのか、という果てしのない後悔がいつまでも残るのだった。そんななか大原櫻子と子供らの気楽なコメディがとてもいい。[投票]
★4懲役十八年(1967/日)定型の近代ヤクザ話だが笠原和夫固有の理屈があり飽きさせない。説得はされないけど。小池「貴様の頭のなかにあるのは敗戦国の亡霊なんだ、世の中は変わっていくんだ」安藤「変わりたくないんだ」[投票]
★4クレージーだよ 天下無敵(1967/日)終始快活な産業スパイコメディ。国会前の機動隊谷啓に突撃する全学連植木なんて描写は、右翼の古沢憲吾では考えられないだろう。万博出展予定の電化住宅、八重洲のポットン式の公衆便所付。DVD付録のロケ地探訪がやたら面白い。[投票]
★4出張(1989/日)バブル期にすり減った全共闘世代の夢想。その二十年間で造反無理と化した本邦の造反有理について思いを致さざるを得ない。収束は石橋蓮司屈指の傑作で誠に素晴らしい。まるで関係ないが『旅情』のキャサリン・ヘプバーンみたい。[投票]
★4坊やの人形(1983/台湾)サンドイッチマン、圧力鍋、米軍と、資本主義が強いる珍奇な仕事と状況という主題が、あの夢のように美しい台湾の風景とともに展開される剣呑さ。同一作者による粒揃いのオムニバス。個人的には梅崎春生が思い出された。 [review][投票]
★4KOTOKO(2011/日)描かれるのは虚構の症状だろうけど、子育て不安を神経症的に描いて細部の深度が普遍に至っていると感じさせる。自虐を解決するのは他虐という中盤の認識も、そんなものかも知れない。厭になるけど。[投票]
★4湾生回家(2015/台湾)湾生(わんせい)、日本統治下の台湾で生まれ育ち、敗戦で日本に強制送還された日本人の、台湾への想いが綴られる。いろんな感想が湧き出る良作。 [review][投票]
★4鞍馬天狗 角兵衛獅子(1951/日)GHQ検閲終了祝いにサイレント好みのチャンバラが繰り広げられ「菊は二度咲く葵は枯れる」と唄われる。オールド・リベラルが戦後民主主義と摺り合せをしている具合なのが実に興味深い。軽快で好ましい作品だが、嵐寛水責めや月形との対決は軽快が過ぎただろう。[投票]
★4太平洋のGメン(1962/日)気楽な江原真二郎に気楽な退屈男と気楽な佐久間良子が絡む、見事なまでに気楽な一篇。物語のどうでもよさが徹底しておりある意味理想的、それでいてラストはちょっといい。端役まで念が入っており気楽な看護師がいい。[投票]
★4十月になれば(1984/ベトナム)未亡人の秘められた恋愛を描くメロドラマなのだが、凛とした緊張感と気品のあるいい作品。ズエンのレー・バンは松原智恵子さん似。 [review][投票]
★4死者からの手紙(1986/露)諦念を込めて描写される核戦争後の世界。なぜ人は廃墟を観るのが好きなのだろう。ガスマスクの行列、水没した図書館、外界とのハッチの剥き出しになった無機質な施錠の仕掛け。 [review][投票]
★4馬鹿と鋏(1965/日)谷口千吉は東宝屈指の社会派だった。本作ではオリンピック開発が揶揄され、成田空港の用地不正買収ネタまで登場し、さらに蒸し器付のトルコ風呂が詳述される。伴淳小沢一郎も快調、北あけみ池内淳子田村奈巳がそれぞれクセのある役処で愉しい。[投票]
★4嵐を呼ぶ十八人(1963/日)いつものアンチロマンな作劇が、まるで嵐を呼ばない日雇いと労組の軋轢という主題に絶妙にハマっている。マーチングバンドの件は、人間を人間以外に解体するを旨とする吉田喜重にして例外的に優しい描写。さすがに十八人が不憫だったのだろう。[投票]
★4がらくた(1964/日)三村伸太郎の愛すべき秀作。デミル『男性と女性』の換骨奪胎により『人情紙風船』『血槍富士』など彼の煉獄巡りの傑作群のその先を描き、ヒューモアで包んで遺作としている。大空真弓の新東宝仕込みの妖艶と対照された星由里子の凛々しさ。有島一郎のバカ公家も平田昭彦のハムレットももの凄い。[投票]
★4産業スパイ(1968/日)余りにも梅宮らしいオンナ駆使する産業スパイ。下着姿でハイウェイに放り出される松岡きっこが気の毒。見処は意欲的な物語脱臼で、こんな活劇で世の中変わるかよと放り出して実に過激、客の大半は怒って帰っただろう。[投票]
★4カメラマンの復讐(1912/露)このぎこちなさの味わいは100年前も今も変わらないだろう。そしていつの世も艶笑譚は不滅。過激なタッチが素晴らしい。[投票]
★4にっぽん’69 セックス猟奇地帯(1969/日)新宿フーテンのシンナー遊びから始めて、片やエゲツない整形手術や入墨彫りなど高度成長裏口の中継、片や日大闘争や新宿騒乱が記録され、唐十郎は花園神社のテント畳んで沖縄の米兵二世に会う。このごった煮感こそが当時の「性と政治」なのだろう。馬になりたいんですよと語るマゾのオジさんがすさまじい。[投票]
★4セックスドキュメント 性倒錯の世界(1971/日)前半は同性愛、後半はSMが扱われ、奈良原祥センセが両者を並置して始まるいかにもな時代の記録、今や斬られるのは製作陣だが、そんななか東郷健戸川昌子が全うなこと語っている。相変わらず手術や便器願望の描写などある鑑賞注意作。[投票]
★4脱獄広島殺人囚(1974/日)日本最長有期刑囚人に取材とある実録作。進駐軍から「三国人」に及ぶ方向定まらぬ作劇がリアルで芳しく、仕方の無い松方が素晴らしい。更生の理想などまるでない刑務所との組合せは絵に描いたような負のスパイラル。君が代パンツって何だろう。[投票]
★4暴動島根刑務所(1975/日)全共闘バリケードへのオマージュに至る爽やかな(!)一篇。本作の松方も素晴らしく、戯れに首吊ってみる絞首台、チャリでの逃走、犬屋、溺れた子供助けて弱る件などなど、強面コメディがてんこ盛り。[投票]