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[コメント] スリー・ビルボード(2017/米=英)

復讐と赦しというテーマ以前に「日本と西洋」の文化の違いを嫌というほど感じさせられた作品。この脚本を認める(映画化する)風土があることに驚き。
capricorn1

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 例えば、この映画の公開前に、脚本をそのまま書き写して日本のプロデューサーのところに持っていったとしよう。間違いなく突き返されるだろう。「やっと主人公を敵と思ってない黒人の署長さんが就任したんだろ。なんでその直後に、主人公が警察署を燃やすんだよ。わけわかんねえよ」とかななんとか言われて。「基本を知らない脚本」と言われて終わり。「広告屋に暴力働いて、なんで警官続けられるんだよ。わけわかんねえよ」

 この映画を真に理解するのは、日本人として極めて困難である。アメリカ南部の田舎町の風土を想像すらできない日本人(私)には、どこまでがファンタジーで、どこまでが現実に起こり得ることなのかすら区別がつかない。

 もっと言えば、娘を殺された母親の怒りが、犯人に向けられず、どうして警察に向けられるのか、そこのところからよくわからない。それは監督も百も承知のようで、登場人物に「警察を恨むのは間違っている」と言わしている。  映画はその後二転三転するが、よくわからないところからスタートしているので当然と言えば当然である。

 それでいて、映画は登場人物の二面性をしっかり描くことに成功している。正反対と思われた主人公を元警官ディクソンが一緒に旅立つラストは象徴的である。摩訶不思議な脚本でありながら、しっかり映画として成立している。世界は広い。

 この映画、公開初日に見たせいか、外国人3人のグループが3つ、見に来ていた。その3グループ、もちろん座った場所は別々なのだが、同時に笑い転げるのである。特にディクソンのセリフの3か所、爆笑と言ってもいいほど、笑い転げていた。これもまた、文化の違いを感じた。

 僕はこの映画、とってもよかったのだが、あの外国人の爆笑を体験してしまうと、いったいどこまでこの映画を理解しているのだろうと自信がなくなった。それで4★となった次第。 

(評価:★4)

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