いやー、ディズニームービーのアカデミーアニメ部門独占を止めたのはダテじゃないですね。最高のアニメーション作品で、今までになかった唯一無二の体験でした。

と言ってもスパイダーマンはすでに何度も実写版が作られているメジャーなヒーロー。それを何を今更アニメーションにしなくても、って最初は思っていたんだけど、この作品の特筆すべき点はこのアニメーションの世界観の凄さです。まるでアメコミの漫画の世界に飛び込んで、それが目の前で動いているかのような感じ。リアルさを求めた昨今のアニメとはまた違った映像美。これは同じスパイダーマンではありますが、楽しみ方が全く異なり、何ならスパイダーマン史上最高に興奮する作品だと思います。

アニメだからこその演出がやはり素晴らしいです。上下左右の感覚を忘れさせるような画面の使い方。台詞が吹き出しで飛び出したり、効果音が浮き上がったりする漫画であることを生かした表現。アニメならではの派手な演出。こういった要素はどれも実写版との差別化であり、このスパイダーマン作品のストロングポイントと言えますね。

ストーリーは多種多様なスパイダーマンが入り乱れて、破茶滅茶なのは間違いありません。女性がいたり、モノクロの奴がいたり、ロボットがいれば、豚もいます。しかし、それぞれが個性的でキャラが成立しており、「みんな違ってみんないい」精神が満載です。みんながスパイダーマンだ！てのがアカデミー審査員にはウケそうな感じもしますね。

正直文句なしに最高のアニメーション作品です。アニメ部門で歴代トップ３に入るレベルの衝撃でした。ただ初めて見た人も十分楽しめますが、結構コアなファン向けのシーンもあったように思います。自分はサム・ライミ版を何度か見た程度のそこそこファンなので、勉強不足でした。ガチなファンならもっと楽しめるだろうな、と考えてまだ伸びしろの余地がありそうです。