コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 七つの会議(2018/日)

野村萬斎ドーン!香川照之ドーン!ドラマ、『七つの会議』。あくまでドラマなのでいっぱい語りますよー。
deenity

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







池井戸潤原作の作品を見るのは実はドラマも含めてこれが初めてです。だから見てもないのにこんなこと言うのは知ったかぶっているようで気が引けるのですが、あれだけ「半沢直樹」が話題になりましたし、イメージくらいはわかるので、勝手ながら池井戸潤っぽいなと思いました。

本作は中堅企業に勤める謎のダメ社員八角がなぜか辞めさせられず、またそこを追い込もうとすると逆に飛ばされてしまうというカラクリ。その背景に潜む闇を追及していく展開で、一言で言えばドラマを映画にしたような作品でした。 だからその点で言えば、何話にも分けてやるようなことを一本の作品として完成させているので濃厚ですよね。でも一方で、語りが多いのは気になる点で、すごく作り手側に誘導されている気分でした。やはりうまい映画は語りではなく演技や演出でそれを表現するので、そういう点では嫌いです。

ただ内容としての密度はやはり濃く、何度も裏切られる展開や突きつけられる現実の厳しさには熱くなるものがあります。それぞれの思惑が次々に明らかになっていき、そして繋がっていく流れはシンプルに面白いですし、何より演者の芝居がどハマりしていましたね。特に野村萬斎と相変わらずの香川照之。彼らの演技は古典芸能ならではの誇張が目立つものの、やはり味があってクセになります。特に予告CMでも使われていた二人が対峙すふシーンは見応えがあります。まあそもそも20年もダメ社員だったのに居座り続けているという無理設定はありますが、キャラの良さに免じてスルーで。

それにしてもラストの八角の語りというウルトラC。だからそれを作中でやれよ、とは思いますが、企業に勤める多くのサラリーマンにはグサッと刺さるメッセージだったんじゃないかと思います。確かに日本人に根付くそれを侍魂というのなら、根本の部分にそういう感情はあると思います。日本の美徳でもあり、同時に日本人を苦しめる足枷なのかもしれません。 「不正はなくならない。減らすことはできる。」 まあ本作が伝えたいことであり一番響くところなんですがね。語ってこなけりゃもっと評価はよかったのに。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。