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[コメント] リメンバー・ミー(2017/米)

これは今年ベスト級、というより生涯アニメ映画のベスト級かもしれない。それくらいこの作品が表現したことをテーマにした作品と出会いたかった。
deenity

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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ピクサー新作でアカデミーでも評価されている最新作。アニメーション映画の中でもトップクラスに割り込んでくるほどの素晴らしい作品でした。アニメって素直に心に入ってくるから感情に訴えかける部分ってのも大きいですが、久しぶりに感動する作品に出会えました。

主人公のミゲルが死の国に行ってしまい、夢か家族か天秤にかけながらも生者の国に帰ってこようとする展開。まず死の国の世界観は素晴らしいです。最近だと『destiny鎌倉ものがたり』でも死の国は描かれて別に悪くはなかったですが、それとは比べ物にならないほどの風景が描かれていました。極彩色の街並みや生き物達。とにかく綺麗です。

そして「大切なのは夢か、それとも家族か」というテーマの作品かと思って見ていると、良い意味で裏切られました。 もっと深く、観念的なテーマが本作にはあって、それが「人は二度死ぬことができる。一度は肉体的に死に、もう一度は自分のことを覚えていてくれる人がいなくなった時に死ぬ」という考え方です。

これは私自身がすごく大切にしている考え方です。初めて聞いたのは住職の言葉でした。時々説法を聞いたりするのですが、その中で出てきた言葉で、強く印象深く心に響きました。 『ワンピース』のヒルルクが同じ名言を残しています。今は亡き芸能人の永六輔さんも同じ言葉を残しています。他にも中島敦の『山月記』なんかでもなぜ李徴が詩作にこだわるのか、という点でこのテーマを扱ったこともありました。 少し話がそれましたが、要はそれだけ私にとっては大切な考え方であり、それを映画として見事に表現したのが本作であって、そんな本作が私に響かないわけないんです。

展開が読めるとか狙いすぎてるとかそういう次元じゃなくて、この作品を見ることで多くの人にこの考え方が伝わってほしいと思います。 故人を悼む心。忘れられたら寂しいんだよ。日本にもあるお盆などの伝統文化の大切さやそこに潜む思いの大切さを感じとってほしいと思います。 そして、じゃあ生きている間に自分には何ができるか。人に覚えてもらえる自分でいるか。という自分自身の生き方を見つめ直すきっかけになってくれたらな、と思います。

(評価:★5)

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