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[コメント] インヒアレント・ヴァイス(2014/米)

なぜ俺たちはこんなにもPTAのことが愛おしいのか?
週一本

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







距離感がある、絶対的な、俺とオマエの。それ以外に何かある?それ以外はすべて絵空ごと。この距離をPTAが描く限り、俺と(俺たち)とPTAの間にも距離感が存在する。愛すべき友情のような奇妙な距離が。

チャイナタウンかロンググッバイか、PTAも人の子か。「マスター」のサイエントロジーに比べれば随分と真面目に話を追ってはいるが、はたして「黄金の牙」が例えばチャイナタウンの「カジキクラブ」ほどに私たちに迫ってきたかというと…まあ人には向き不向きが当然ある。

でもエロネクタイのクローゼットとかナメナメサービスの狭い入口とか、美しい光は今回も健在だったね。

今更だが、いつだってPTAは二人の個人的な距離を描いてきた。恋人の友人の親子の、愛を描いてきた、それに比べてしまえば(あの光も影も画の力さえも)、それ以外は何もやっていないに等しいのかもしれない。

ゆえにドックのクサを平らげたビッグフット(クソッタレ!クソッタレ!なんてシーンを撮るんだ!)、シャスタとふたり身を寄せてドライブ(ああ、ドックの顔を照らすミラーの光)、男を家族のもとに返してからのこれらのシーンが、どことなくジョークもうわっついていたそれ以前にくらべ、アンバランスなほど生の感覚で迫ってくる。心を捉える。

糞みたいな世の中でリアルって、俺とオマエの距離、それだけなんだと言わんばかりに。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ペペロンチーノ[*] jollyjoker DSCH[*] けにろん[*]

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